私が勤めてきたお店は、基本的に高価格帯のレストランです。
そこには経営者やお医者さん、時には皆さんが知っているような芸能人の方がお食事にいらっしゃいます。
ですが、高級レストランは、なにも高所得者だけが来るようなところではありません。
大切な人との記念日に、いつもとは一味違う、特別なディナーをプレゼントする方。
そして、一世一代のプロポーズの場として、レストランを利用される方。
そんな普段とは違った、特別な日ために高級レストランを利用される方も多いです。
非日常で、ロマンチックなディナーを楽しんでいただければと思います。
特別なデートで、高級レストランを利用するというのは、よくある話ですが…。
今回は、エスコートする側の男性の方々にお聞きしたいことがあります。
レストランでの立ち振る舞いは上手くできますか?
サービスマン側の視点で、いろいろなお客様を見てきました。
初めてお会いするお客様たちは、その立ち振る舞いを見て、どんな方なのかを判断するのですが
その中には、残念なお客様というのも割といらっしゃるわけで…(苦笑)
それは、慣れていない方がパニックになっているといったことだけではありません。
高級レストラン慣れしてるであろう高所得者の方々の中にも、残念な立ち振る舞いをされる方は結構いらっしゃいます。
そこで今回はレストランでのコース料理において、スマートに立ち振る舞う方法をお伝えさせていただきます。
テーブルマナーも大事ですが、今回はそれ以外での立ち振る舞いや心構えが主になっています。
オドオドしてしまうのは、未知に対する不安からです。
この記事を読んで、堂々とデキる男を演出しましょう!
予約をしよう
高級レストランは、事前に予約をした方がいいです。
というか、予約をしないと入れない店や、すぐに予約が埋まってしまうお店があります。
気になるお店があれば、しっかり確認して予約しましょう。
レストラン側としては、予約を受ける時に確認することがいくつかあります。
・予約日と来店時間
・人数
・予約者のフルネーム
・電話番号
【聞かれることが多いこと】
・複数のコースがある場合、どのコースを注文するのか
・来店者全員の苦手な食材やアレルギー
・お祝い事があるか(プレートの用意が必要か)
・キャンセルポリシーは了承できるか
苦手な食材、アレルギーは必ず伝えておく
予約の段階でまず大事なのが
自分はもちろん、同席する人の苦手やアレルギーを把握して伝えておくことです。
最近は、お任せコース1本のみというレストランが多くなりました。
コースの内容は、来店時には既に決まっています。
厨房はそのための仕込みを、事前に済ませておいて営業に臨みます。
そして、コースを始める前にサービスマンは、苦手とアレルギーがないか最終確認をします。
その時初めて、お相手の苦手な食材、アレルギーが分かったとしましょう。
コースに使っていない食材なら問題ありません。
付け合わせに使っている食材くらいなら、取り除くか代わりのものを使って対応できます。
恐ろしいのは、その食材が1品の中で欠かすことができない、また既に仕込まれていて取り除けない食材だった時です。
その瞬間、事前に用意したコースの内容は崩壊します。
厨房はその対応に追われ、別の皿を考えなければなりません。
もちろん、大なり小なりこのパターンはよく起こることなので、ある程度の対応策はこちらも用意しておきます。
ですが、こちらが提案していたベストなコース内容とは違うものになるということは、ご理解いただきたいところ。
そして、代わり1品のために予定してなかった労力が必要になりますので、もしかしたらスムーズに料理が出てこない、なんてことも起こってしまうかも。
レストラン全体の料理を一つの厨房でやっているわけですから、このしわ寄せは全体に響きます。
また、アレルギーはその方の命に関わる場合もありますので、ぜひ事前に確認しておいていただきたいものです。
お祝い事があれば、その内容を伝えよう
何かの記念日での利用なら、事前にそのことは伝えておきましょう。
定番の形ですと、食後のデザートに向かうタイミングで、お祝いのプレートがレストランから用意されます。
プレゼントを渡すなら、その時です。
また、花束や大きなプレゼントの場合、こっそり事前に預けておけば、プレートを出すタイミングで一緒に持ってきてくれます。
ロマンチックな演出をしたいのであれば、しっかりスタッフとお話しておくとスムーズです。
来店
予約日になったらレストランへ向かいます。
来店の際は、行きかたや道順を調べておき、時間に余裕を持って向かいましょう。
遅刻は厳禁。お相手に迷惑がかかります。
では、いよいよ来店です。
高級レストランでは、予約時間に合わせてスタッフがドアで待機してることが多いので、その場合は女性が先に入るよう促しましょう。
自分で開ける場合は、こちらがドアを開けて女性に入るよう促します。
まずは予約の名前を伝えます。
席へ案内される前に、上着や荷物を預かってくれることがありますので、その場合は貴重品を自分持ってから預けましょう。
席へ案内されますが、ここでもレディーファースト。女性の後ろを歩きます。
席へ着席する際は、女性を奥側にエスコートしましょう。
女性をソファー側に座らせる合理的な理由
女性を奥側の席に座らせるというのは、レディーファーストの観点でもそうなのですが、実はとても理にかなったことなんです。
奥側、つまり壁を背にする椅子に座ると、お店全体が視界に入ることになります。
もし、男性がそのような視界になった場合、視界に映るサービスマンや席を立つ他のお客様といった動くものに反応して、視線をあっちこっちいってしまいがちです。
これは男性脳が「狩りをして生きる」生き物だったため、周辺に注意しながら動く獲物を狙うという本能のもとに「広い視野」で「動くもの」に視線が向くためです。
お相手の女性からすると「自分とのデートに全然集中してくれていない」と、とられてしまいますので、女性を奥側に座らせ、自分は相手と壁だけが見えるようにして、お相手に集中できる環境を作りましょう。
コース料理の始まり
席に着いたら、間もなくしてサービスマンがやってきます。
ご挨拶と共に、苦手な食材アレルギーなどの最終確認を行います。
まだコースの種類が未定、またはコース内で選んでもらう品がある場合はこのタイミングで聞かれます。
その後、最初のドリンクはどうするか、聞かれるなりメニューを渡されるなりするので、飲み物を決めましょう。
飲み物を頼まずに、水だけを飲んでたらいけないという決まりはありませんが、ここは最初のドリンクだけでも頼んでもらえるとスマートかと思います。
ワインの注文が不安?
レストランにおいて、メインとなるお酒はワインです。
ワインを知らない方にとっては何が何だか分からないと思いますし、値段がピンキリなのでそちらの面でも不安に襲われることがあるでしょう。
どんなワインを注文すればいいか分からない時は、是非目の前のサービスマンに聞いてみましょう。
そのためのサービスマンなんですから。
注文する際のポイントとしては
・値段の表記がなければ聞く、聞きたくなければ予算を伝える
・自分の好みがあるのなら伝える(赤が好き、重いのは嫌い、シャルドネが好き…etc)
・「料理に合わせてワインをください」とお任せする
ワインがお好きなようでしたら、ペアリングを注文するのもいいでしょう。
一番やめた方がいいのは「知ったか」でしょうね。
こちらとしてはすぐわかりますので、なかなかみっともないです。
食事中【テーブルマナーは気にしすぎないで】
さぁ、いよいよコース料理のスタートです。
結婚式でのコース料理のような、カトラリーが複数個横に並んでいる場合は、外側から使っていくように配置されていますので、そのように使っていきましょう。
レストランでのコース料理では、その都度サービスマンがカトラリーをセットして、一皿が終わったらカトラリーごと下げていくのが一般的ですので、素直に置かれているものを使えば大丈夫です。
食事中のマナーは気になるところかと思います。
ですが、極論を言ってしまえば、あんまり気にしない方がいいと私は考えます。
サービスマンの私目線で、一番残念に見えるのは「マナーが不安でビクビクしながら食べている姿」です。
私たち、別に多少食べ方を間違えたりしても怒りませんって、大丈夫。
私たちがテーブルのものを下げたからって、そんな恐縮しないください。お願いだから。
特殊な食べ方が必要な時は、お出しした時にサービスマンが食べ方を説明するので大丈夫。それが仕事だから。
つまり、分からないなりに堂々としていた方がいいということです。
どうか背筋を伸ばして、堂々としていてください。
そもそも、楽しむためにレストランに来ている筈なんですから、そこはぜひ素直に楽しんでいただきたいものです。
まぁ、お相手の女性が不快にならない程度の所作は身につけておきたいですけどね(笑)
そのボーダーラインは人それぞれですので、あしからず…。
食べるペースは相手に合わせ気味にしてあげましょう。
あまりにも食べるペースが早いと、相手に気を使わせてしまう場合があります。
逆に相手がとっくに食べ終わってるのに、お話しに夢中で自分のお皿に手がついてないのはダメですよ。
ただし、あまりにもペースが遅い場合は、最後に慌ただしいお食事にならないためにも、閉店時間を気にしていただけると幸いです。
ただ、これだけは覚えて欲しいテーブルマナー
そんな中で、コースをスムーズに進めるにあたって、これだけは知っておいて欲しいマナーが「食べてる途中と、食べ終わった時のカトラリーの置き方の違い」です。
一皿食べ終わるたびに、私たちはお皿を下げるわけですが
中にはまだ食べるのか、それとももう食べないのか分からない状況があります。
そこで、もう下げていいのかを判断する時、私たちはお皿に乗ってるカトラリーの向きを見ています。
カトラリーがお皿にハの字でかけて置いてある場合は、まだそのお皿は下げないで欲しい合図です。
対して、お皿の上に並んで斜めの状態で置いてある場合は、もう食べ終わったので下げてもよいという合図です。
食べてる最中にやらないように気をつけましょう。
これを守っていただけると、サービスマンとしてはとても助かりますのでよろしくお願いします。
お会計〜退店
コース料理を楽しんだらお会計です。
自分が払うのなら、お相手がお手洗いのために席を立ったタイミングでお会計を済ましておくとスマートです。
帰る際も女性を先に、自分は後からついていきます。
預けていた上着などがあれば受け取り、退店です。
以上で、レストランでの立ち振る舞いは終わり。
お疲れ様でした。
終わりに 〜サービスマンとの会話も楽しんで〜
いかがだったでしょうか?
初めてのお客様の中には、雰囲気と自身の緊張のためにガチガチになってしまう方がおります。
ですが、レストランは楽しむ場です。
どうか過度な緊張は解いてください。
それが今回一番伝えたいことです。
その方がみんな楽しいから。
最後にサービスマンから提案です。
よろしければ、サービスマンにも話をしてみてください。
料理が美味しかった時、内装やお皿が綺麗だった時…
なんでもいいんです。気になったことがあれば話してみてください。
一応、こちらは接客のプロとしてやらせてもらってます。
話を広げたり、盛り上げるためのネタと知識は備えておりますよ。
パリッとしたスーツで堂々としている、目の前のサービスマンもなんら変わらない普通の人です。
どうぞ気軽にお声をおかけくださいな。
では
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