【意識のギャップ】 スタッフは大慌て?コース途中の離席の話【レストランの裏側】

料理と飲食業
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高級レストランでのコース料理

その時間は優雅で、ゆっくりと進んでいきます。

対して働いているスタッフはというと、それに反して大忙しってコトも少なくありません。

お客様とスタッフ

同じレストランの場において、見ている景色や意識は大いに異なります。

例えばレストランの水問題。

10年前くらいに、コレで炎上した料理人がいましたね。

そもそも海外の多くにおいて水の硬度などの影響があり「水は買うもの」であって、人々の意識に根付いています。

しかし、日本は水道水が普通に飲める数少ない国なので、飲食店で水は無料というのが当たり前という意識。

また、レストラン側にとって飲料を注文してもらうか否かということは、売り上げに影響します。

お客さんからしたら「水だけ頼んで何が悪いの?」という認識ですし

高級レストランという場に慣れているスタッフ側からすれば「利益が出ないな…」とか「せっかくレストランでコースを食べるのに水だけなんてもったいない」という認識があるかもしれません。

ちょっと話題になったレストランの水問題

こんな感じで、お互いの意識のズレを身をもって体験してきたのですが、今回はその中でも特にお客様とレストラン側の意識の違いを感じられるエピソードをお話しさせていただきます。

お客様側からしたら「こんな事になってるの⁉︎」と驚かれるかもしれませんし、レストラン側の人間からしたら「あるある!」と思っていただけるくらい日常茶飯事の光景です。

ちょっとした小話だと思って、どうか気楽にお聞きください。

「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」

世界文化遺産にも認定されている「日本料理」

職人が作る料理には、本当に細かい部分にまで気が配られていて、海外の料理人たちを驚かせました。

そんな日本料理の考え方の一つに「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」というものがあります。

言葉の通りに温かいものは熱々のうちに、冷たいものは冷たいうちにということなんです。

当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、料理人はその意識が普通の方々より高く、厳しいです。

お客さんに出すギリギリまで火をかけ、素早く盛り付け、1秒でも早くお出しする。

それは海外の方にとっては時に「熱すぎる」と思わせるほど、その考えは徹底されています。

なぜ、このお話をしたのかというと…

この料理人の意識が、これからのお話に関係するからです。

熱いものは熱々で

席を外したいお客様 VS 料理を出したい料理人

高級店での食事に慣れている方。

レストランでこんな経験をしたことはありませんか?

コースの途中、ちょっとお手洗いに行こうかと席を外した瞬間…

サービスマンがこちらにきて一言

「まもなく次のお皿が参りますので、よろしければどうぞ」と…。

コレはつまり「次の皿が来るから席を立つな」ということです。

初めて言われた方はびっくりするでしょうね。

先ほどお話したように、料理人の温度管理は並々ならぬ思いがあります。

以前働いていた店では、完成した料理をトレーに乗せた瞬間に運ばないと、担当のスタッフは怒られていました。

誇張ではなく、1〜2秒でも目の前の皿を運ぶのを躊躇したら「早く行け」と言われていたと思います。

そして、基本的に1名でも席を外してる方がいるテーブルに、次の料理をお出しすることはありません。

そのような中、もし料理が仕上がる直前にお客様が離席してしまった場合、どうなるでしょうか?

料理をそのまま出せないとなれば、キッチンに出来上がった状態で置いて待ってる?

そんなことはしません、離席から帰ってきた時に料理は新しい皿に盛り直しです。

仕上げた料理も盛り直し

焼いた状態の肉などは、冷ますこともこれ以上加熱することもしたくないので、温かいところに置いて温度をキープします。

ソースなどはそのままの状態で残っていれば戻せますが、盛り付けの際に他のソースなどと混ざってしまっている場合は、破棄しなければならなくなります。

最適と思われる状態のものを熱々で仕上げたのに、盛り直さなければならず、ソースは一回分損して、最適な状態から離れていく…。

そんなこんなで、直前の離席の際にはキッチンに絶望の雰囲気が漂います。

若い頃に勤めていたレストランでは、直前にお客様が席を立つとサービスマンから知らせを受けようものなら…

職人気質のシェフが「席を立たせるな!!連れ戻してこい!!!」と怒鳴っていました。

時に殺伐とするキッチン

それだけ、最高の状態で料理を食べて欲しいということなのですが…

内情を知っている私のような者なら理解はできます。

ですが、何も知らないお客さん側からしたらこれ、たまったもんじゃないですよね…。

生理現象のために席に立ったら遠回しに「席に戻れ」と言われるのですから、「なんでお手洗いに行くことまで制限されなきゃいけないんだ」と思われても仕方のない話です。

残念ながら、お客様は【料理人ほどは】料理に対しての強い意識はないでしょう。

1秒でも躊躇せずに出せというキッチンの気持ちは、知る由もありません。

尿意を催したら、普通にお手洗い行きたいです。

シェフが声を荒げてるのを横で聞いてて

「そこまでしなくても…」

とは、私も感じていました。

それぞれにそれぞれの事情がある。

お客様とレストランスタッフ

その意識のギャップは、まだまだ無くならないでしょうね(笑)

おわりに【温かいうちにお召し上がりください】

いかがでいたか?

実はレストランの裏側では、こんな感じでてんやわんやしてたりします。

知る由もないお互いの意識のギャップには、噛み合わない可笑しさがあります。

料理が来るから席を立つなというのは、ちょっと行き過ぎに感じるかもしれませんが…。

それだけ料理を最高の状態の時に食べてほしいという思いが、料理人達の意識にはあります。

ですから料理の写真を撮ったりするのはもはや普通の事として、いつまでも撮影が終わらなかったり、おしゃべりに夢中で全く手がつけられなかったりすると、料理人としては虚しく悲しい気持ちにため息が出ます。

なので、この記事を読んでいただいた優しいみなさん。

もしよろしければ、撮影はほどほどに、最高の状態を逃さないうちに料理を楽しんでいただければ、私たちとしては嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

では。

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