レストランでずっと働いている自分にとって、その内部は日常の風景なのですが、お客様からすると、レストランの内側というのは謎に包まれています。
そりゃそうか、オープンキッチンじゃなきゃ見えませんもんね。
そして、完成品のみを見ているお客様は、それがどんな素材で、どんな調味をされて、どんな調理をされているかは、サービスマンの説明でしか知ることができません。
高級レストランで使われている食材たち、なかなか未知の世界ではありませんか?
もちろんこだわり抜いて、一般の方では仕入れられない食材というのも往々にしてあります。
ですがこの流通が発達した現代では、高級レストランでも使っているものが、スーパーなどのお店に並んでいるのを見かけることも少なくないのです。
そこで今回は、お店にも売っていて、高級レストランでも使われていた商品をご紹介しようと思います。
もちろん私個人の経験に基づいてお話しさせていただきますし、数え切れないほど種類があるお店の全てに該当することはないです。
ですが、もしいつものお店で見かけたら、ちょっと背伸びして購入してみてはいかがでしょうか?
ご紹介するものは、自然と保存がきく乾物や調味料、飲料が主となりました。
それではどうぞ!
1 サンペレグリーノ
最初にご紹介するのは、スパークリングウォーターの「サンペレグリーノ」
イタリア北部のロンバルディア州で採水される、天然の炭酸水です。(ちなみに国産の炭酸水はほぼ全てが炭酸ガスを注入したもの)
ペリエと並んで最も有名なスパークリングウォーターの一つであり、きめ細やかな泡が特徴の硬水で、口内に残った料理の余韻を綺麗に洗い流してくれる感じ。
日本の高級店にもよく置いていますが、特にイタリア、フランスなどのレストランでは、基本的に置いてあって当たり前のテーブルウォーターとなっています。
また、その年における世界のレストランのランキングを発表するアワード「ワールドベスト50レストラン」の公式スポンサーでもあり、世界の飲食業に多大な影響力があるブランドです。
スーパーでは主に500mlのペットボトルで売られていることが多いですね。
暑くなる季節に、爽やかなイタリアの炭酸水を飲んでみてはいかがでしょうか?
2 エスオーシー株式会社 温泉水99
続いてもお水の紹介。エスオーシー株式会社さんの「温泉水99」です。
@cosmeのシール貼ってありますね(笑)
美容界でも有名なようです。
こちらは鹿児島県桜島近くで採水される、天然水。
先ほどのサンペレグリーノは硬水でしたが、こちらは「超」が付くぐらいの軟水となっています。
なので口当たりの柔らかさは桁違いです。
ですがこのお水、レストランで飲料として置いてるワケではありません。
それでは何に使っているか??
「出汁」に使っているんです。
綺麗で澄んだ出汁を取る際は、日本では軟水が良いとされています。(日本の水は軟水が主です)
なので、「超」軟水の温泉水99は綺麗な出汁を取るのにぴったりというワケ。
また、浸透力が強いため素早く味を抽出することができます。
有名な星付き和食店さんなどが、お店の要である出汁にこの水を使っています。
ご家庭ではお出汁を取るのはもちろん、お茶を抽出するときにも味わいの違いを見せてくれるのではないでしょうか?
もちろんそのまま飲んでいただいても最高ですよ!
3 丸八製茶場 献上加賀棒茶
続きましてこちら
丸八製茶場さんの「献上加賀棒茶」
私が以前勤めていたレストランで使用しておりました。
ほうじ茶なのですが、こちらで使っているのは茶葉の茎部分を焙煎したものになります。
ほうじ茶が好きだった晩年の昭和天皇の為に作り、献上したことからこの名前がついています。
こちらはとにかく香ばしい香りが素晴らしい!!
お湯を注いだ瞬間、幸せな香りが立ち昇ってきます。
また、冷たく飲みたい場合は水出しが最高です。
先ほどご紹介した「温泉水99」で水出ししたら完璧ですね。
以前、大手メーカーさんのペットボトル飲料で加賀棒茶を飲んだんですが、全然違くて驚いた経験があります。
こちらは成城石井さんに置いてあることが多いです。
ぜひ飲んでみてください!
4 無印良品 那須高原HERB’sハーブティー
続いては超メジャーな企業さんからの紹介になります。
無印良品 「那須高原HERB’sハーブティー」です。
こちらはその名の通り、栃木県那須高原にある「那須高原HERB’s」さんのハーブを使用しています。
那須高原HERB’sさんは、ハーブティーはもちろんのこと、フレッシュハーブも勤めていたレストランで使わせていただいてました。
自然農法で力強い香りのある国産ハーブたち。
繋がりある飲食業の方々が那須高原HERB’sさんを訪ねる投稿を、たびたびSNSで拝見します。
私自身も、一度見学させていただいたことがあり、オーナーの浜津さんに案内していただき、お話を伺わせていただきました。
食後や、ホッと一息したいときにどうぞ。
5 ARDOINO エキストラバージンオリーブオイル
今度はオリーブオイル。
「ARDOINO エキストラバージンオリーブオイル」です。
こちらは割といろんなスーパーで売っている感じがします。
イタリア北部リグーリア州の小規模な畑で製造されるオリーブオイルで、高品質な安心安定のブランドとしてレストランでも使われています。
これがあれば安定だよねっていうイメージでしょうか(笑)
エキストラバージンオイルですので加熱用ではなく、そのままかけてフレッシュな香りと味を楽しむのがお勧めです。
6 マルホン 太白胡麻油
続きましては、マルホンさんの「太白胡麻油」
こちらもいろんなスーパーで見かける商品ですね。
私たちが普段使っている胡麻油は、胡麻を焙煎してから圧搾して油分を出します。
そのため香ばしい香りがあるのが特徴ですが、太白胡麻油の場合は焙煎をせずに圧搾するため、香りはなく雑味もない綺麗な油に仕上がります。
太白胡麻油はさらっとしていて料理の邪魔をせず、また高温に強く酸化しにくいという特性があります。
そのため、油が命の高級天ぷら店の揚げ油としてよく使われますし、お菓子の生地などにも使われる万能ぶりです。
乳化(水と油が混ざった状態)もしやすいので、私が勤めていたレストランではピューレやエマルジョン(マヨネーズみたいな状態にすること)ソースに
あとは太白胡麻油と香りある素材を一緒に真空パックして、湯煎することで香りを移したオイルを作ったりしていました。
酸化しにくいというのは、つまり抗酸化作用があるということなので、体にも嬉しい油になっています。
シンプルに炒め物などで違いを感じてみてください
7 飯尾醸造 富士酢
次は、飯尾醸造さんの「富士酢」です。
100年以上の歴史がある京都の醸造場で作られる富士酢は、酢酸の酸味だけでなく、ふくよかな旨味に溢れているのが特徴です。
それもそのはず。
この富士酢を作る際には、なかなか真似できないこだわりがいっぱいあります。
- 私たちが普段使う「米酢」はJAS規格に定められた最小限のお米(1ℓに対して40g)に「醸造用アルコール」を添加することで作られている。
- 対して富士酢は「醸造用アルコール」を使わず、JAS規格の5倍ものお米でお酢を作っている。
- さらにお米作り、醸しまですべて自社の管理で行っている。
- さらにさらに古米やクズ米、米ヌカなどを使うメーカーが圧倒的に多いのに対し、お米は無農薬の新米を使い、伏流水の綺麗な水によって作られている。
美味しくて然るべき手間がたくさんかかっていますね。恐れ入ります。
飯尾醸造さんのお酢は寿司職人さんの信頼も厚く、高級寿司店で土台となるシャリに広く使われております。
料理のクドさを切る酸味と、味わいを増す旨味を両立したお酢。
ぜひご家庭でもお使いになってみてください!
【飯尾醸造公式HP】
8 カマルグ フルールドセル
次は、カマルグのフルールドセルです。
フルールドセル、フランス語で直訳すると「塩の花」
海水を自然乾燥させて、水面に浮かんでくる天然塩の結晶をすくったものです。
手間がかかるのに対して、高級レストランを筆頭に需要が多いことから、高価なお塩となっています。
自然のまま作るので、塩化ナトリウム以外にもマグネシウム、カリウムなどのミネラルを含んでいて味にも深みがあります。
調理中に加えるというよりは、ステーキなどの最後に仕上げとして用いることにより味わいにメリハリをつけ、ほのかな食感をプラスします。
余談ですが、塩を加えてからの時間が長いと、他の成分と馴染んでまろやかになるので、こういったいいお塩は直前に加えるのがお勧めです。
まろやかというのは、言い換えれば味にメリハリがないということにもなるので…。
9 マルドン フレークソルト
次もお塩の紹介。
「マルドン シーソルト 」です。
イギリスで作られている「英国王室御用達」の認定を受けたお塩です。
特徴はなんといってもその形。
薄いピラミッドの形をしたフレーク状になっていて、サクサクとした食感があります。
こちらも先程のフルールドセル同様、料理の仕上げに振りかけて食感と塩味のメリハリに使ってみてください。
レストランだと肉を焼く時は火入れの都合上、ある程度塊の状態で焼くので、切った後に塩味の届いていない断面に振りかけています。
10 フェレロ クスクス
最後にこちら
フェレロのクスクスです。
そもそも、みなさまクスクスはご存知ですか?
クスクスは世界最小のパスタと言われている、細かい粒状のパスタです。
発祥は北アフリカや中東ですが、イタリアやフランスに伝わり、特にフランスでは国民食として親しまれています。
日本におけるカレーライスみたいな感じです。
蒸し上げたクスクスに、スパイスの効いた羊の煮込みなどをかけながらいただきます。
スープカレーをイメージしていただければわかりやすいと思います。
フランスでは大人気なクスクスですが、日本の方は最初慣れない口当たりに違和感を覚えるみたいです(私は最初から美味しかった。大好きです。)
ですが2回3回と食べていくにつれて、やみつきになっていく料理になっています。
口当たりさえ慣れれば、味は美味しい煮込みとパスタなので当然とも言えますが…。
パスタコーナーの隅っこによくいるので(笑)是非試してみてください!
終わりに
いかがでしたか?
実は紹介しきれないもの(主に輸入品)もまだあったのですが、今回は10個にまとめさせていただきました。
調味料って、普段使っているのと違うものを買うの、なかなか冒険ですよね。
その冒険の手助けになれば幸いです。
紹介したプロユーズの品々、ぜひご自身でその違いを体験してみてください。
びっくりするくらい違いが分かるものも、きっとあるはずですよ。
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